【本日の談話室】第18話
~こどもの不法行為責任~
何気ない日常の中にも
実は“知らないと損をする法律”が潜んでいます
このシリーズでは
その中でも、特に身近な法律事例を紹介します
土曜の午後、談話室に小学生のお子さんを連れたお母さんがやってきました。「実はうちの子が友達の家の窓ガラスを割っちゃって…、相手の親御さんから“弁償して”と言われているんです。こういうのって、やっぱり親の責任ですよね?」
お母さんの声は、心配と罪悪感で揺れていました。そして、子どもは申し訳なさそうに俯いて、お母さんの袖をぎゅっと握っています…
【雑談から余白】
「基本的には、子どもが起こした損害について
親は“監督義務”を負いますが例外もあるんです」
僕の言葉に、お母さんは驚いた表情を見せました
「え?必ず親が責任を負うんじゃないんですか?」
「そう思われがちですが、法律は“親が子どもを十分に監督していた”と認められる場合には、責任を免れる余地を用意しているんですよ」
お母さんは少しホッとしたように深呼吸しました「つまり…きちんと注意していたかどうか、それがポイントなんですね…」
「その通りです。もちろん実際には、監督を尽くしていたかどうかはケースごとの判断になります。でも“必ず親が責任”と決めつけるものではないんですよ。」
子どもは顔を上げ、お母さんに小さく「ごめんなさい」とつぶやきました。その姿に、お母さんは優しく微笑んで頭をなでました。
【補足メモ】
子どもに責任能力がなければ(例えば6歳など)、子ども自身には「不法行為責任(709条)」を問えません。その代わり、親が「監督義務者」として責任を負う。これが民法714条の基本構造です。
ただし、親がきちんと注意・監督していたと認められる場合には免責されることもあります。
それでも被害者が損をするのは理不尽ですよね。そのため実務では、信義則上の話し合いや、個人賠償責任保険による対応が一般的な解決法かもしれませんね。
【ミライ談話室】
人は、不安や違和感を抱きながら生きています
すぐに解決できるものもあれば
時間の必要なものもあります…
「ちょっと気になる」「なんか違和感がある」
そんな時こそ、ひとりで抱え込まないで
ミライ談話室の扉をノックしてください
心の違和感を一緒に整えていきましょう
その違和感こそ“ミライの扉”かもしれません
【本日の法的根拠】
本日は、【民法第714条(監督義務者の責任)】
「未成年者が他人に損害を加えたときは、その監督義務者が賠償責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、または怠らなくても損害が生じたときは、この限りでない」
※記事は、一般的なケースをわかりやすく紹介したものであり、実際の取引では契約内容や特約によって扱いが異なる場合があります。個別具体的な事案については、専門家にご相談ください。
【こどもの不法行為責任】

