【現実と妄想の余白】第34話
~水面の会話…忘れる勇気~
ミライ談話室の片隅で交わされた、現実とも妄想とも言えない、そんな世界観。
扉を開けるたび、いつも違う誰かが座っている。けれど彼らの声はどこか似ていて、まるで僕の心の奥から聞こえてくるようだ。目を閉じて、別の次元に意識を向けると聴こえてくるメッセージがある。ここだけ時がとまり、少しだけ歪んでいる。そんな場所を、僕は「ミライ談話室」と呼んでいる。これは現実なのか、それとも妄想か…その余白に揺れる。
登場人物(この記録のための約束事)
【僕(語り手)】
談話室の道先案内人。人の話を傾聴しながら、自分の中の別の声と対話している。現実と妄想の境目に漂いながら、降りてきたメッセージを届ける役目を担っている。
【訪問者たち】
ここでは、名前も肩書きも必要ない。訪れる人達は、過去の自分かもしれないし、まだ出会っていない誰かの影かもしれない。ここでは誰もが「その人の一部」である。
【ミライ談話室】
雑音のない、静寂に包まれた部屋。ここにあるのは、雑談と傾聴の間で、現実と妄想の違いすらわからない不思議な世界が揺れている。しかし、はっきりと感じるのは「本音」かもしれない。その揺れるものを感じながら、今日も「ミライ談話室」が始まる…
【水面の会話…忘れる勇気】
午後の談話室…
雨上がりの光が、窓越しに差し込んでいた
【本日の訪問者】
「あの、僕忘れたいんです」椅子に腰かけた男性が、目を伏せたまま言った。いったい何を忘れたいというのだろうか…
「全部忘れたいんです…仕事での失敗も、人間関係も…でも、頭では“もういい”ってわかってるのに、身体が覚えてるんです。あの時の恥ずかしさとか、怒りとか…」
【僕(語り手)】
人は、良い事よりも、悪い事を良く覚えている。それも、不思議なスイッチでもあるかのように何度も、何度もリプレイする…そして、また「あの味」を噛みしめる。
過去と現在、そして未来…この時空は繋がっているのだろうか?それとも全ては平面で構成され同時並行で物語が描かれているのだろうか…それは僕にもわからない。
ただ、これだけは言える…いま考えていることが全てを引き寄せて、それが未来を創るということ。過去を変えられると言われるのは、このイメージを変えることで未来も変わり、そして自分の世界そのものが変わるからなのだろう。
たぶん、過去は完全には忘れられない。だから、書き換えるように妄想して「現実と妄想のあいだ」に余白を創るほうがいい。だって、人生は「自分が創造する物語」だから。
この会話をしながら、僕にひとつのメッセージが降りてきた。それを彼に伝えると、驚いたように、そして安心したように、笑顔で、ゆっくりと部屋を出ていった。
次回へつづく…
【水面の会話…忘れる勇気】

